無心

 理想的な文章というのは万に一つも書けないものだ。かの有名な坂本金八は、「実に日本語というのは使い方によって豊かな感じを与えられるよネ」とおっしゃったが、実際に自分で文章を書いている時ほど、これを痛感することはない。


 日本語というのは、“てにおは”よろしく助詞・助動詞の使い方によって、その文全体の性格が微妙に変化する。意図的であろうとなかろうと、我々が何気なく使っている会話も、毎日読んでいる新聞も、そしてこの短い記事も、その影響を少なからず受けている。そして、そんな些細な違いこそが、読み手の感情を揺さぶり、受け取り方に強弱をつけているのだ。ともすると、日本語というのはなんと難しく、なんとデリケートな言語であろうか。


 ブログを始めてからというもの、私は恥ずかしながら日々の更新に躍起になっていたわけであるが、どうもそれに気をとられすぎて大切なものを置き去りにしていたようである。エロゲーのレビューを書き始めたのは一昨年の冬であろうか、その頃に比べ随分と表現が稚拙になってしまった。初心に帰る時なのかもしれない。



 思わずドキッとした文章に出会うと、それは自分の生き方に残る。そんな文章に出会いたいし、またそんな文章を書いていきたい。ブログを書き始めて2ヶ月、今更ながらブログ運営の難しさを知った。