第一回:レイニーヴェール

 エロゲーが星の数ほど出ているとすると、当然ながらそのテーマソングやら挿入歌やらも、それに比例して数多く作曲されます。しかし、悲しいことにゲームそのものが評価に値しなかったため、表舞台から忘れ去られてしまった歌というのは、実際かなりの数に上っているのではないでしょうか。


 エロゲーソングは、I'veサウンド霜月はるか嬢などの知名度の高い方々や定評のある集団が手がける曲のほかは、一般に伝播する曲というのはごく僅かなのが現状です。ビッグタイトルには必ずと言っていいほど、有名どころの名前が目につきます。もちろんいい曲というのは支持されて然るべきでしょうし、上記の方々をはじめとして、クリエイター諸氏が素晴らしい作曲・作詞をなさっていることは、私も当然知っています。実際のところ、私も彼らの曲というのはだいたいが好きですし、にべもなく否定するわけにも参りません。

 しかし、スポットライトを当てられずに埋もれてしまったゲームにも、心を打つ主題歌、聞き応えがあるテーマソングというのは少なからず存在しているはずなのです…。それこそ泥中の宝石ではないでしょうか?もちろん私自身の感性もありますが、とくに耳に残ったものをピックアップしていきたいと思います。



 本日、記念すべき一曲目はマイナーもマイナー、超絶マイナーなところから。それは―――










『Rainy Town 〜永遠の場所〜』 より  「レイニーヴェール」














………たぶん、大多数の方が御存知ないかと思います。色々とバグゲーでしたから。それに、プレイされたごく少数の方が果たして内容を覚えているかどうかというレベル。残念なことに、ゲームそのものはたいしたことないんです。


 けれど、この挿入歌だけは別格。埋もれさせるのが非常に惜しい一曲です。検索してみると、歌詞が全くヒットしませんでしたので、一応耳コピして載せておきます。なお、オフィシャルのほうでショートバージョンが聴けるようです。作曲者、作詞者も歌ってる人も全く分かりません。ゲームはこの際捨て置くとして、詞がすごく好きなんです。


レイニーヴェール

作曲、作詞・未詳 歌・未詳 美しく見えたあの日 何も怖れはしなくて 青春も知らずに 心だけはしゃいだ 過去に想いかえして 胸の奥から熱い涙が 白い吐息になって 雨中に消えた 偽りの花で満ちた 世界ならいらない 苦しくて 心の温もりなんてないけど 鉛色に褪せた夢を 抱きしめたまま 今日もひとり臨む(?)街の灯が窓越しに霞んでいく 誰にも見つめられない 道化チックな生き方でも 傷つけば誰より 深く心痛くて 愛する人にだけ 優しくできるようなヤツの 真似などできない 生き方ヘタクソだね 許されない 心の中に咲いた花よ  踏みにじられても生きておくれ 涙も枯れ果てて 苦しむならば 苦しむほどに幸せが近い うずくような痛みをこらえ 擦り切れた足を引きずって 見上げても厚い雲に光は届かず 吹きすさぶ現実の吹雪に凍てついて 凍りついた この街に暖かな心 降り注ぐ君の微笑み やさしさ忘れない 夢で編んでくれた 希望という名に輝く 光のヴェールで 君を包み込みたい