祝・巨人

 優勝に水をさすようで甚だ申し訳ないのだが、昨日の巨人対ヤクルト戦はとてももどかしい、というより腹立たしい試合だった。巨人サイドから見れば絶体絶命の二死からの逆転勝ち、という優勝するに相応しい試合運びである。それについては、おめでとう、と言いたい。

 しかし、昨日の試合はヤクルト側の采配に明らかな問題がある。古田監督の采配はペナント開始から終了(優勝チーム決定)まで常に疑問がつきまとった。たとえば昨日の試合、5回の拙攻は仕方ない(打者7人、3四球で1点)にしても、1点勝ち越している8回二死1・2塁ヤクルト攻撃の場面で、投手のシコースキーに代打を送らないとはどういう了見をしているのか。五十嵐らの離脱もあって、今季ヤクルトは抑え投手で苦しんだ。いま思うに、この場面はもっと貪欲に点を取りに行く必要があった。ここの結果は明白である。当然ながら中継ぎ投手が打てるわけもなく、残塁の山をいたずらに増やしただけにすぎない。投げていた木佐貫は代打が出てこなくてほっとしただろう。

 そして運命の9回裏に繰り出してきたのはなんと館山。今季11敗の投手をこの大事な一戦の締めにもってくるのが納得できない。他の抑え投手と比較すると館山は明らかに要所で打たれすぎで、防御率が数字ほど信用できないのである。もちろん古田監督は彼の速球にひかれて高津の代役に任命したのだろう。しかし、実際は目立った活躍を果たしていないように思われる。僅差の勝負に弱すぎるのだ。そして昨日も四球を乱発して、マウンドを降りサヨナラの火付け役になるという始末。急遽マウンドにあがったであろう花田は、宮本のエラーもあって、一番損な役回りをする破目になった。気の毒である。これら一連の采配に、ヤクルトファンが落ち込むのも無理はない。


 横浜や広島は上位陣を苦しめてがんばった。圧倒的資金差の中で、上位3チームに対し広島は借金4(対阪神14-9)、横浜は借金12(対中日12-11)とある程度の見せ場を作った。これに対してヤクルトは借金20で、しかも上位に勝ち越せずじまいなのである。横浜の大矢監督などは(一番横浜が巨人の白星配給していることもあって)「意地を見せて、巨人の優勝を阻止したかった」と、最後の巨人戦を前に優勝が決まってしまったことに苦虫を噛み潰していた。今季のヤクルトは打線が打ったイメージはあるものの、チーム全体の繋がりに欠け覇気がなかった。


 先日楽天が早々と50勝を達成した時に、楽天の野村監督は、そんな古巣の苦境を横目にこう語っている。


「ヤクルトがひどい試合している。ヤクルト頑張れ」


その願いは届かずじまいだった。来年のヤクルトはいったいどうなってしまうのか。西武が26年ぶりにAクラス入りを逃したことも含めると、これらは球界の来年への課題だと思われる。それについては、今日行われるドラフト会議とポストシーズンとを踏まえつつ、後日話したいと思う。