コメントに対する返信

 先日の拙稿に対する望外の反響があり、正直びっくりしております。そんな大それたことを書いたつもりもなかったので、結果的にお目汚しになってしまったかと思います。それでも、わざわざ足を運んで下さりありがとうございました。

 また、数々のコメントはそれぞれ興味深く拝読させていただきました。長くなりそうなので、今日の更新はコメントへの返信に充てさせていただきます。




>>henahenaさん

>>恋姫無双
 この作品に関して、私はかなり否定的な立場をとっています。もちろん全面的に否定するわけではありませんし、キャラが「萌え」に特化しているという点から、支持層がある程度ついているのも納得できます。ただし、問題のSLGに目を瞑ってしまうならば、それは「萌えAVG」以外の何物でもありません。もしお粗末な戦闘パートを最初から入れなければ、ネタ的要素の強い純粋なAVGとして、もっと評価されたのではないかと感じる次第です。AVGを謳っているのであれば、無用な戦闘パートは避けるべきだった。なんにせよ、自ら完成度を低くしていることに対してよい心象は覚えません。
 さらに、移植が決定した事がどうしても頭の隅に引っかかりまして。エロを取ってしまえば、「キャラに萌えるためのゲーム」という価値以外、殆ど評価材料が残らないのではないでしょうか。キャラだけで勝負してくるブランドは星の数ほどありますが、こういう安易な移植はあまり感心できないと思います。ただ、発売前のゲームを評価するのは邪推以外の何物でもありませんので、ここら辺で打ち止めで。ともかく期待するとしましょう。

 それと、「下劣」は言葉を選ばずに過ぎた感があります。パロディを否定しているわけではありません。ファンの方もいらっしゃる中で、大変失礼いたしました。削除させていただきました。


>>ノベルにSLGRPGにより多くを求めてよい時期
 これは、理想論やら個人的なプレイスキルやらを多分に含んでしまうのですが、記事でも取り上げたザウスを例にしたいと思います。

 かつて、「永遠のアセリアシリーズ」は、自身が大いに期待をかけている連作でした。というのも、「永遠のアセリア」で随所に光ったアイデア(戦闘システムは無論、舞台背景など)が、次回作に生かされるだろうと睨んでいたからです。ところが、先の「聖なるかな」はその期待を大きく裏切り、ほとほと失望を隠せない出来となってしまいました。残念ながら、「永遠のアセリア」→「聖なるかな」という3年のスパンで、私にはどうもグラフィック以外に進歩した点を見受けられなかった。SLGにしてもAVGにしても、中途半端なまま終始した感が拭えない。前作を生かしきれなかった、というより生かす努力をしていないように思えるのです。

 このように、既存のブランドが自社の打ち立てた高い壁を越えられない例は、これまでにも多くありました。ところが、ここ数年で、ユーザーの評価と作品の質とが乖離しすぎる場合が多くなってきたように感じられるのです。類する作品への甘すぎる評価(代わり映えのしないSLGSRPGに対して「面白い」ということ)は、もはや雲霞の如く沸いて出る始末。これは、私の評価基準にも問題があるのかもしれませんが、ユーザーがゲーム性への耐性を少なからず欠いている証左ではないでしょうか。その一例が「聖なるかな」に見られた一連の動きでして、このことはまさに、遊べるエロゲーの停滞かつ読ませるゲームの氾濫を象徴しているんじゃないかなと。

 新規ブランドが参入する見込みの薄さに関しては、henahenaさんの意見に同調します。しかし、AVG中心のエロゲー業界の中にあっても、せめて既存のSLGやらRPGやらを製作するブランドだけは、上昇気流であってほしいと願ってもいます。これはもはや架空論の範疇を脱しませんが、RPGSLGエロゲー業界で厳冬を過ごしている最中、ユーザーがブランドに対し少しなりとも貪欲であれば、その劣化を下げ止めることは必ずやできると信じています。




>> hechoさん
 バランス感覚に欠ける作品が頻出してる期間の存在には、私も憂いを感じます。ご指摘のように「絵」はその最たる見本であり、ブランドの中には、視覚的な要素だけで勝負してくる場合も多々あります。私自身多くの作品をプレイしますが、そういった作品ばかりを並べてみると、金太郎飴を延々と切っているような感覚に囚われてしまいますね。「遊べる」ゲームに対する評価が甘かったり、SLGRPGに分類されるタイトルの少なさを見ると、ユーザーの求心力がいかに「視覚的なもの」に影響されている事が良く分かる。そして、「そういった作品しか知らないユーザーは、「それが当たり前」になってしまう」のは自然な流れかと思います。

 ただし、現状を見る限り、一時期より幾分マシになった気がします。それでも、萌えゲーが氾濫していることに首肯は出来かねますが。




>>いづるさん
 私の意見は非常に急進的だと自覚しており、行過ぎた見解もあると自覚しております。ですが、今の状態が長く続けば、そのうちエロゲー自体が安穏なAVGに汚染されてしまわないかという恐怖があります。必ずしも遊べるゲームが全てではないことは承知しておりますが、ノベルの氾濫によって遊べるゲームの意義が損なわれているのもまた事実。もちろん私や他のユーザーの方が厳しい評を業界に発信すれば業界の改良に直結するかと言いますと、必ずしもそうは思っておりません。付け焼刃で遊べるゲームを作っても、失敗するブランドが多い事は目に見えていますから。しかし、惰性で垂れ流されるAVGの惨状に目をつぶれなくなったというのが本音で、その専横には疑問すら覚え始めました。

 ゲーム性が皆無であっても「読み物」ゆえに受容され、ゲーム性に富んでいても「世代」の壁にぶち当たり敬遠される。こういった状況は、「萌えゲー」に類するものが多く求められているからなのでしょう。そして、たぶん私も古い側の人間なのです。もはやエロゲー界の手綱はAVG(ことに読み物)が握っているだけに、読み物に流されるしか術はないのかもしれません。まあAVG主体であることは歓迎すべきこと(というより、否定してはいけないこと)なのですが、どうも各ブランドの堕落が著しいだけに心配です。

 そして、最初は私もコンシューマの道を辿ることこそ、現状の打破に繋がると考えていた時期がありました。しかし、どうもコンシューマとアダルトとでは、求められているものが違いすぎると感じ始めました。コンシューマで求められているものは各種「遊べるゲーム」なわけですが、アダルトで求められているものは各種「読み物」なわけですね。実際、今年度上半期、コンシューマにおいて読み物に分類できるものは、ソフトの本数に対し相対的に皆無という状況です。これはもうプラットフォームの違いとしか言いようがないですね。努力は出来ても大勢は変わらないんじゃないかと思います。



>>ALTさん
>>ランキング
 一時的なことや売り上げに目を奪われすぎとのご指摘ですが、だからこそ、年末に期待するとの文章を最後に添えています。そもそも、このランキング自体が便宜的なもので、それを前提にこのテキストは成り立っているわけですから、下半期の作品が出揃うことによって、また私の目線も変わるかもしれません。あくまでも現時点と言うことでご理解していただけると幸いです。


>>下劣極まりない
 これは上に書いたとおりです。不快感を覚えられたようで大変失礼しました。重ねてお詫びいたします。


>>AVGがエロゲ界のスタンダード
 AVGが伸張してきた背景としてならば、貴論は非常に納得できるものがあります。ですが、それが仇となって今のような「AVGの澱み」を産んだのではないでしょうか。「ライターの腕次第でどんなストーリーも表現できる」ゆえに、それに従事するクリエイターは増え、そこから全体的なAVG(読み物としての)のレベルを低下させてしまったと見るのが自然かと思われます。スタンダードであり続けることに否定はいたしませんが、流石にこの頃は暴挙が過ぎると思われます。



>>mistralさん
 当然SLGRPGに業界を主導してほしいわけはないですし、あくまでも脇役的位置で製作してほしいと願っています。ただ極端な話、SLGRPGの数がゼロになるのは、古参の層の切捨てであり、「萌えゲー」のさらなる台頭を呼び起こしかねないのでは。私は「萌えゲー」の増長に懐疑的なので、この流れは歓迎できかねます。いづるさんが上で指摘されているような「脱学園・脱伝奇読み物」というのは、行き詰った感のあるAVGへの清涼剤となり得るはずなのですが、なかなか上手くいった試しがない。デバッグなどもそうですが、どうも拙策によって作られた作品が増えてきている気がするのです。


>>デバッグを手抜き
 これはもう論外ですね。作品を語るよりも、もっと表層的な問題ですから。






 最後に。18禁レーベルにおいて年に数本しか出ないSLGRPGに対して、ユーザーの評価は甘くはないのでしょうか?18禁でシナリオを多分に評価するのは自然なことですが、なんというか…、システムを「エロゲーにしては…」という括りで縛っているような気がするのです。かつて「永遠のアセリア」の感想で書いた文章を、今一度掲載して〆させていただきます。






 「エロゲにしては……」、「18禁ゲームとしては……」





この作品に限らず、何かにつけてこの文句を多用し、出来るだけエロゲのカテゴリの中に収めて高く評する人が数多くいらっしゃいます。ですが、こういった表現はそろそろ控えるべきではないかと愚考します。というのも18禁ゲームが続々と家庭用ゲーム機へと移植される中、その表現を使い続ければ、所詮は逃げ文句となってしまうから。質の低下は、ユーザーが忌避しようとすれば、自ずと進行は食い止められる。逆に、メーカーに面白いものを作らせるにはユーザーが求めていく必要がある。私がそう考えるからです。

 18禁ゲームだからと言って、少々緩いシステムで及第点を与えるのはそれこそ一昔前となってきたように感じます。ことにRPGSLGにおいては。なんかうまくは言えないんですけれども、家庭用と融合しつつあると言うか。FF10-2がギャルゲだのなんだの騒がれた背景は、まさにそれなんだと思うんですよ。それに、エロゲーの認知度が上がった今となっては、エロゲをエロゲ内だけで評価するのも、時間が経過しすぎたように思えますし。「そろそろ家庭用と同列に見てもよい頃合ではないか」と…。



纏まりがなくなりましたが、拙筆につきお許し下さいませ。