エロゲーの売上と評価の格差〜各ブランドの表〜 号外:この図表の問題点に関して

 図表化を思い立ってから、約半年が経ちました。これまで20ほどのブランドを、データ化と称して表に落としました。内容は葱板の人気投票と批評空間、そしてPC-NEWSなどの売上高を一つの表にするというものです(詳しくはバックナンバーをご覧ください)。
 現在もその途上にありますが、このへんで具体的な問題が浮上してきましたので、いくつか指摘しておきます。今後、このようなデータ化を行う方がいれば、参考にしていただけると幸いです。


1.「良作」、「駄作」は定義づけできない

 この図表の売上−評価とは、売上順位−評価順位のことを指しています。この際、売上順位に関してはPC-NEWSを、評価順位に関しては、葱板で行われる人気投票をそれぞれ用いて、単純に順位の差し引きを行っています。統計学的な知識に基づいて図表化を行っているわけではない、ということをまずご了承ください。
 本来ならば、売上数と評価した人数がピタリと合致するのが理想ではあります。しかし、それは土台不可能な話です。なので、非常に便宜的ではありますが、誰でも閲覧可能で、入力した間違いを指摘できる3つの数値(売上、売上-評価、批評空間データ)を1つの表にまとめた次第です。批評空間のデータ入力数を図表に入れたのは、売上との相関性を鑑みて、何か検討できないかと思ったからです。
 しかし、そもそもの集計も100%信用できるというわけではありません。


 留意点
 集計には極力気を使っていますが
 除外しきれない信者や荒らし厨による多重投稿が含まれますので
 ある程度の脳内フィルター越しに見ることをお勧めいたします


と集計人さんが述べていらっしゃる通り、どうしても不確実なデータが紛れ込んでしまいます。本当は評価が低くあるべき作品が、ファンあるいは荒らしによって持ち上げられることは、十分ありうることなのです。極端な話、投票者全員が特定の作品のファンであれば、どうしても偏った表が作成されてしまうのは否めません。しかし、ことさらに評価を下げる荒らしは、減点の項目がない葱板の集計から殆ど除外されていると考えられます。ファンによるブレはあっても、アンチによるブレはできるだけ防がれていると言えるでしょう。
 これらから確実に言えるのは、「売上−評価」の数値が+になっている作品が、必ずしも良作というわけではない、ということです。マイナスの作品についても、同様のことが言えるでしょう。私自身も、プラスになっている作品の評価が全て高いわけではありません。なので、「この表ではこうだから良作に違いない」というのは、一個人の思い込みとして扱われてしまいます。
 この図表が、エロゲープレイヤーの諸兄姉のコンセンサスを得るのは難しいんですが、購入動機の一つとして検討される分には、問題ないかと思われます(良作の保障はできません)。



2.感覚的な問題となっている
 作品の良し悪しについては、どうしても個人の嗜好が関連してきます。この表からは、それを読み取ることはかないません。相関を弾き出さないことには、あまり突飛な事は申し上げにくいんですが、私自身は、「この表には、感覚的な部分が多く含まれているのではないか」と考えています。
 たとえば陵辱ゲーム。陵辱色の強いゲームが売上上位に顔を出しにくいのは、ある種仕方のないことかもしれない。これも感覚的な問題の一つでして、BLACK CYCさんをデータ化していて強く感じました。

 こういった嗜好云々は、本当に数値化が難しいのです。なるべく、その影響を微弱なものへと変換したい…。その願いはかなり切実です。しかし、ファン、アンチと言っても色々ありまして、こういった情報が飛び交う状況では、とにかく不特定多数のバイアスが何重にもかからざるを得ないのです。
 たとえば、誰かにモニターになってもらい、ソフトを渡してプレイ&評価してもらえば、それなりのデータはとれるでしょう。同じ500人がいくつかの作品をプレイして評価を出せば、それはある程度信頼できる数値になると思います。ただし、ネット上ではそういうのも難しいし、第一お金がかかりすぎます。学問的に扱うには、些か限界があるようです。


 感覚的な問題では「○○であるから▲▲」とは断言できないんで、同様にこの表は「■■であるから●●」なんてことも言えません。よって、これらの図表を根拠に、なんらかの提言をすることはあまり賢いこととは思えないわけです。



3.私がデータ化を進める理由
 上記のように、私自身、色々と問題があるのは認識しており、端から見れば無駄なことをしているように見える方もいらっしゃることでしょう。
 ただ、私は「過去にこういったやり方をした人がいた。しかしその方法には問題があった。よって別の方法を用いる。」という風に、なんらかの形でエロゲーの評価学(みたいなもの?)に先鞭をつけれたらいいな、と考えています。奇矯かもしれませんが、無駄な事はないと考えて、これからもマイペースで更新させていただきます。