[18禁ゲーム]『ましろ色シンフォニー』レビュー

 前のプレビューに、せっせせっせと肉付けしました。


Atoraの『ましろ色シンフォニー』のレビュー


久しぶりの原稿用紙20枚クラス。長文になってしまいました…。もうアップしていますが、細部はもう少し推敲するかもしれません。

『ましろ色シンフォニー』をクリアして

 レビューに向けての評価です。このシナリオ評を少しリテイクして、レビューにも流用するかもしれません。

シナリオ

 たしかに「良い話」が多かったんですが、「良い話だったな」という感想以上のものは得がたいです。たとえば物語を読んで号泣したり、クリア後に何か考察したりといった、後に残る作品ではないということ。前回の記事通り、「思索にふける必要性はなく、素直にドラマとして受け取」るべきです。以下、私のプレイ順に感想を。



愛理・・・ただひたすらに甘いシナリオ。典型的なツンデレっ娘。
 つばすさんのキャラで言うと『青空の見える丘』の伊織嬢を髣髴をさせるんですが、愛理は完璧さに磨きがかかっていました。ただ、完璧を求めるが故の不器用さも兼ね備えていて、それがまた、彼女の魅力でもあります。「これでもか!?」というくらい甘ったるいです。
 このお話では、思わず愛理の相談役になっていた桜乃にも惹かれてしまいました。


みう・・・紗凪との三角関係になるのかなと思ってたんですが、そうならないのが、このシナリオの優しいところ。天羽みうと動物たち(主にぱんにゃ)の暖かくも切ないストーリーを追える話でもあり、彼女を心から敬愛する乾紗凪をかっこいいと思える話でもあり…。唯一、色々な見方のできるシナリオですね。
 また、みうの母親、天羽結子さんも魅力的なので、惹かれるプレイヤーは多かろうと思います。期待していたぱんにゃが大活躍だったので、概ね満足です。


桜乃・・・実は義妹。昔の夢。同い年の子から告白される兄。葛藤。恋心に気づく自分。
 こんなお約束のシチュエーションばかりで構成されてるシナリオです。やはり甘いシナリオでした。ただ、愛理と比べると、桜乃のほうが恋人になってからのシチュエーションがじれったいので、いちいち面映い気持ちになります。ところどころ、エキストラの影響で暗い雰囲気になりますが、それを吹き飛ばすくらい甘いという印象。善人あってこそのエンディングです。
 愛理の立ち位置が絶妙で、みうルートの紗凪のようにかっこいいです。


アンジェ・・・主従関係と恋人関係の相違というのが、このお話の争点。ちょっと短めです。
 エロゲーには珍しく、女の子が恋する瞬間というのが克明に描かれているのが特徴的。詳細は伏せるとして、その場面は特に新吾がかっこよく映ります。全体的な感想としては、愛理や桜乃に比べてこそばゆい話でした。
 桜乃の立ち位置が素晴らしい。良い意味で、遠まわしにカップルをいじる役回りをしていました。桜乃はこうなるんだろうなと予想していたので、思わずほくそ笑んでしまいました。


総評・・・どのルートもじれったい&甘い事には変わりありません。ただし、微妙にアマアマの度合いが違うと感じました。
 愛理は本当に甘ったるすぎる程デレデレしています。それに対し、アンジェはその短さに起因してか、意外とあっさり。桜乃とみうは少しビターが入っており、ややダークな感じを受けますが、ドロドロという程の事はありません。
 テキストレベルに高低があるというわけではないので、ここらへんは好みが分かれそうです。つまり、シナリオには甲乙つけがたいかと。好みの問題でしょうけれど、私はみうルートを推します。

 ともかく、全てが甘いシナリオであるのは間違いなく、どれもそれなりに楽しめました。萌えゲーの中にあって、突出した物語がないという点は評価できると思います。



 繰り返しになりますが、つばすさんの好きなエロゲープレイヤーにはオススメです。「ぱれっと塗り」には脱帽するばかり。ただ、イベント絵の複数回使用がみうルートでは顕著なので、そこが少し目に付くかもしれません。



音楽

 『さよなら君の声』の存在感が大きいです。目立つ曲は少なくとも、全体的にそつがない曲が多く、場面場面の使い方等にも全く違和感はありません。聞き心地のよいやわらかな曲調を持つ曲が多いです。
 声優は個人の好みと考えているので、ここに関しては割愛します。私が聴いていた分には不自然な点はありませんでした。



ぱんにゃ

 今年度最強のマスコットキャラクター。ぬいぐるみ化にも納得。いやまさか、マスコットに惹かれるとは思ってませんでした。「うりゅー」の破壊力が抜群です。



総評

 学園モノという王道を、ただひたすらに直進した作品です。右にも左にもぶれておらず、深いテーマ性の読み取りは不要。ファンタジーじゃない分、愚直なまでに王道を描ききっています。シナリオをドラマとして読み進める中で、いかに甘いシチュエーションに浸れるかが評価の分かれ目となっています。


 全体的に、この物語は善人を中心に構成されているので、ダークな展開を想起させる場面でも、自然に清い方向へ動いていきます。みうルートは唯一「色がつきそうな*1 」シナリオだったんですが、紗凪が一歩引いた見方をすることで、それも白へと漂白されています。そういった意味では、みうルートこそが最も「ましろ色してる」と感じました。
 また、どのルートに入っても、ヒロイン以外の女の子が、かわらず魅力的でいてくれるのが、今作の最も好きな点でした。愛理ルートの桜乃に、アンジェルートの愛理や桜乃に、みうルートの紗凪に惹かれても、全く不思議ではありません。それくらい、ルート毎の引き立て役に降格した女の子の振る舞いがいいですね。

 主人公が童貞ゆえにエッチでかなり失敗するのはご愛嬌。それでも、見ていて不快な気持ちにならないのが不思議なところです。苦労性の人瓜生新吾の人となりをよく表していると感じました。優柔不断というよりは、『気配りのすすめ』を体現している存在だから。せっかちにならずに済んだのは、彼が善人のなかでも、筋金入りの善人だったからでしょう。


 惜しむべき点もあります。何度振り返っても良い話以上の評価をひねり出せないのが、残念と言えば残念でした。ほんわかとした雰囲気をお望みのプレイヤー、エロゲーをはじめたてのプレイヤー、少しずつ進めてクリアするプレイヤーにとってはうってつけの作品です。


 これはプレビューなので、批評空間に載せる際にはもう少し煮詰めるかもしれません。一言で感想を問われると難しいですね。シャーリーさんからご指摘があり、紗奈→紗凪に訂正いたしました。ありがとうございます。

*1:三角関係が容易に想像できるため。他の3つのシナリオは、殆ど一直線の恋愛劇と考えられる。

『ましろ色シンフォニー』1

 現在の私のプレイ状況は、


保住圭・・・愛理(クリア)、アンジェ
おるごぅる・・・みう(クリア)
北川晴・・・桜乃


といったところです。無難なゲーム……じゃないや、“読み物”で収まりそうです。簡単にまとめました。



(シナリオ)・・・まだ、未プレイ部分もあるのでなんとも申し上げる事ができないんですが、昨今の萌えゲージャンルという範疇で、一定の評価を付加できる作品だと思います。絵本のように色々と思索にふける必要性はなく、素直にドラマとして受け取ったほうがよさそうです。


(絵)・・・ビジュアル面については、つばすさんの好きな私にとっては文句なし。


(音楽)・・・自己主張は強くないですが、一曲一曲を取り出してみると、心地のよいピアノ曲、バイオリン曲が多い印象があります。


(ぱんにゃ)・・・シナリオ担当のおるごぅるさんがおっしゃっていた『10%ぐらいはぱんにゃでできている』という意味が分かりました。たしかに、それくらいはぱんにゃが占めていると言っても過言ではなさそうです。ぱんにゃ可愛い。



暫定的な感想はコレくらい。では、今から桜乃ルートをプレイいたします。

開館を心からお祝いして

米沢嘉博記念博物館
http://www.meiji.ac.jp/manga/yonezawa_lib/index.html


 かなり前から構想があったのは知っておりましたが、ようやくといったところでしょうか。米沢氏が遺したものはあまりに巨大で、尊いものだったことは間違いありません。とにもかくにも、このようなサブカルチャーが、データベースとして資料化の第一歩を踏み出したのは、業界全体にとっても喜ばしいことだと思います。
 明治大学のような取り組みに触発されて、このような保全活動が推進されることを望みます。

気に入らないユーザー

 僕がエロゲー批評空間でレビューを読みつづけているのは、読む価値のある文章に出会いたいからである。エロゲーに関する情報を入れることにも有用ではあるが、見知らぬ他のプレイヤーが書いた文章から考えさせられることは多く、ひとつのゲームに色々な視点があると気づかされることもしばしばある。何度プレイしても自分では閃かなかった読解などは、読んでいて面白い。
 しかし残念ながら、あまたの文章の中には、他人を不快にさせるものや暴言とも取られかねないレビューもどきも多数存在する。僕は気に入らないユーザー機能を使っているが、そこに登録したユーザーは、ユーザーをあざけわらったり、レスが濫妨狼藉紛いだったり、必要以上にアンチとファンを焚きつけたりと、レビュアーとしての認識に欠けている点が多い。

 僕が言いたいのはこうだ。エロゲーユーザーの中にあって、わざわざエロゲー批評空間に来て自分の感想を残そうとするユーザーは、そう多くはないはずだ。その行為自体は誉められるべきである。しかし、多重IDを駆使して点数の上げ下げをしようとしたり、暴言で個々人を貶したりする、その必要性がまるで分からないのである…。4年ほどレビュアーを続けている者にとっては、普通のレビューを書くことに不満があるのではと邪推したくなる。

 このところ、別の意味でレビューを書いていないレビュアーが増えた。匿名性の問題もあろうが、かように大荒れの中では、どうも、彼らの意図がいまいち掴めないのである。

聖地探訪−横浜編−

 3連休をゲーセン(クイズマジックアカデミーQMA、熊とも。)だけに使うのもなんだ、というわけで、聖地探訪に行ってきました。『うみねこのなく頃に』の背景ネタだけは随分前から掴んでいたので、近場で撮れそうな聖地を探しつつ、行程をボリュームアップ。ようやく目処が立った段階で、きつねさまに連絡を入れ、同行を要請するとすぐに快諾をいただけました。結果的に、忙しい中連れまわしてしまい、たいへん申し訳なかったです。


 さて、今回の探訪では横浜周辺をくまなく散策したということで、写真の枚数も非常に多く、聖地探訪の規模としては稀に見る長時間にわたる撮影でした。


 きつねさまとは石川町駅に11時に集合というプランだったので、私が単独で撮影してきたところから、順を追って見てみましょう。

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